潜在的な心理的ダメージを受ける理由
精神的ダメージを与えている4つの要因
人生どんなに前向きに生きている人でも、突然の出来事や理不尽なことにはストレスを感じるものです。
解決できる問題や、放っておいても問題ない一時的なものであれば、その後にストレスを引きずることはないでしょう。
しかしながら、本人が意識していなくても、潜在意識的に残る精神的ダメージもあります。
幼少期から長い期間をかけて刷り込まれるようなことや、日常に溶け込みすぎているものもあります。
トラウマと言われるものもその一種です。
最近の自己啓発本には、毎日のTVやネットのネガティブなニュースは積極的に見ないほうが良いと書かれているものが多いです。
潜在的にネガティブなイメージをしてしまうことで、本当に気持ちまでネガティブになってしまうからです。
ネガティブなものに目が行きやすくなり、ネガティブなものを引き寄せてしまうからです。
ひと昔前に比べて、現代ではこのような精神的ダメージを受ける機会も多くなっていると言います。
例えばスマートフォンの操作による首こりを言うスマホ首(ストレートネック)など現代病として分かりやすいものがあります。
今回はそのような現代ならではの部分で、潜在的に受ける精神的ダメージついて4つの要因を挙げたいと思います。
セキュリティ
セキュリティやプライバシーは、ひと昔前に比べて飛躍的に意識しなければならなくなったものです。
デジタルを多く扱う現代では、デジタルの中の見えない相手にも気をつけなければならなくなりました。
オンラインショッピングなどでクレジットカードを登録している人も多いでしょう。
それによりカード情報だけにとどまらず、ログインIDとパスワード、個人情報などの管理するものが増えました。そして悪意ある第三者からの盗聴、改ざんなどを気にする必要があります。
世の中が便利になる一方で、犯罪も起こりやすく被害も大きくなってきていると言えます。
ITに疎い人もいることで、ITを得意とする人との格差も広がる一方です。
もはや本当にプライバシーが守られているかどうかも分からないという人もいます。
子ども世代にとっては、これが当たり前の状態でスタートします。
幼稚園や保育園では、不審者訓練があり、不審者が出た場合の対応を避難訓練のように行うようになりました。
人に名前を聞いても教えない。名札は学校でしか付けないというようにもなりました。
身内以外は信用しないように教わります。
幼い頃から、まず人を信じることよりも疑うことを先に覚えるのです。
大人も子どもも、一部の犯罪者に基準を合わせて気にして生きなければならないのです。
このような窮屈さは、見えづらく測りにくい部分ですが、間違いなく無意識の中でストレスになっていると言えます。
災害
地震、台風、土砂崩れ、河川氾濫など自然災害が目立つ現代です。
新型コロナウイルスの登場も世界的に大きな問題となっています。
特に直接被災した人は、大きな精神的ダメージを受けることでしょう。
被災した季節が近づくとアニバーサリー反応というものもあります。
例えば、震災等の映像をきっかけに、ドキドキ、不眠、落ち込み、不安になるなどの反応が起こるということがあります。
2020年にセコムが実施した調査に「日本人の不安に関する意識調査」があります。
その中で、最近1年で不安を感じた事件・事故の上位4つが災害に関するものでした。
- 新型コロナウイルス感染症の拡大
- 台風や暴風・豪雨・ゲリラ豪雨などによる土砂災害
- 地震・津波による被害
- 猛暑による熱中症や日射病
https://www.lisalisa50.com/research20200719_2.html
災害に関しては、避けることが難しいものではあります。
だからといって目を背けるわけにはいきませんし、対策をすることはとても重要です。
しかし、最近ではスマホのカメラを通して個人で撮影されたショッキングな映像も残ります。
メディアを通して見る機会も増えました。
知らないうちに、被災していない人に対しても不安感を植え付けられやすい環境であると言えます。
子どもの中には、こんなことが日常的に頻繁にあるのかと感じてしまい不安になる可能性もあります。
コミュニケーション
コミュニケーションというと、友人、親子、異性、先生や先輩などが浮かぶと思います。
また環境では、学校や家庭、部活やサークル、塾などの習い事やアルバイトなどがあると思います。
しかしながら、現代では、SNSなどを通してコミュニケーションできる世界が大幅に広がっていると言えます。
直接的なやりとりがなかったとしても、知らない誰かでさえ身近な人に感じられてしまうこともあります。
例えば芸能人のTwitterやインスタグラム、またインスタライブなどを通して、同じく空間(デジタルの中の空間ですが)にいることで親近感が増したり、コメントを通じてやりとりをしているようにも思えてきます。
知らない人同士の会話も、自分のテリトリーの中の会話と錯覚してしまいます。
そんな会話の中で、ネガティブだったり不快な内容があった場合には、不要なストレスを受けかねません。
現実での友人とのコミュニケーションであっても、SNSを通した場合に、メッセージの深読み、情報不足、既読スルーの罪悪感や返信の強迫観念などストレスになる要素はたくさんあります。
SNSを通した陰湿ないじめも聞かれます。
潜在的に、私はコミュニケーションが苦手なのだと、苦手意識が増幅されてしまう恐れもあります。
コミュニケーションというものは社会に出たら避けては通れない大切なものであるが故に、苦手意識は持ちたくないものです。
情報
今までのセキュリティ、災害、コミュニケーションと並列というわけではなく、統括するようなものが情報です。
情報化社会の中で、情報自体が飛躍的に増え、情報のインプットやアウトプットの機会も増えてきました。
セキュリティに関しても、管理する情報が増えたことにより、気をつけなければなりました。
メディアを通して犯罪に関する情報が得やすくなったことで、あおられ、不安をかきたてられる側面も出てきました。犯罪は増えていて、凶悪化しているという印象が強いですが、実はひと昔前に比べ犯罪の数は減ってきています。
刑法に定められている殺人、窃盗、詐欺などの刑法犯は、
昭和期は120万件から150万件で、平成元年には160万件台でした。
その後急増し、平成14年に280万件のピークを迎えましたが、以降減少に転じ、平成30年には約82万件と、平成元年の半分、ピーク時から7割以上も減っています。
https://www.kyoto-su.ac.jp/faculty/ju/2019_03ju_kyoin_txt.html
災害も個人の映像などの情報が出回りやすくなったため、ショッキングな映像を見る機会も増えました。
コミュニケーションはSNSの登場は影響が大きく、情報化社会で大きな影響を受けた1つと言えるでしょう。
これらの情報に対して、新たな欲求も生まれます。
- 新しい情報を得たい
- 誰よりも早く情報を得たい
- 話題になる情報を得たい(見出しの面白さや噂話などのレベルで良い情報)
- 正しい情報を得たい(複数のサイトから同じニュースを見て、信ぴょう性を確実にしたい)
気付かないうちに情報に振り回されて、常に忙しい状態と言えるでしょう。
デジタル疲れ(SNS疲れ)を感じている人は以下の記事もどうぞ。
まとめ
今の10代20代の若者は、すでに情報化社会の中で生まれ育ってきました。
また親世代も経験したことのない類のストレスがありふれている時代とも言えます。
ストレスを感じない人は、あまり影響を受けずに過ごせるかもしれません。
しかし潜在的に抱えているダメージは、体力でカバーできているうちは表に出てこないかもしれませんが、体力が衰えたときに顕在化してくる可能性があります。
また、敏感な人にとっては、早い段階でストレスを感じにくい人との格差が広がるかもしれません。
「最近の若者は〜」と上の世代が言っているシーンを聞くかもしれません。
確かに規律を守り、厳しく叱られることが当たり前の時代で、温度差はあるのでしょう。
だからこそ自分の時代と異なるその上の世代が、甘さとかゆるさを指摘する意見も理解はできます。
しかしながら、幼少期から潜在的なストレスを受けながら育ってきた若者ならではの一種の防衛反応のようなものも働いているのではないかと感じます。
ストレス緩和のための独自の対策法も身につけながら育ってきたとも言えるでしょう。
だからと言って世代ギャップが大きいと言うのも早計です。
大人も大人で急激な時代の変化のストレスを感じているのです。
大人が幼少期に疑問に感じたことや不可解なところは改善してあげたいという思いも出てきています。
本当に精神的なダメージが自覚できる場合は、遠慮なく身近な人に相談しましょう。
参考
https://www.lisalisa50.com/research20200719_2.html
https://www.kyoto-su.ac.jp/faculty/ju/2019_03ju_kyoin_txt.html