社会人としてお金を上手に管理する方法
前回の記事で、大学生におすすめのお金の管理方法について説明しました。
前回の記事はこちら
お金の考え方は、時代によって異なります。ひと昔前の世代までには、金融機関にお金を預けてさえすれば良いという考えの人がほとんどでした。お金の話をするのは下世話で、蓄えて貯めることが良いことだという教育をなんとなく受けてきました。しかし、今は教育も考え方も変わってきています。個人でもお金を稼ぎやすい環境ができあがってきて、キャッシュレス化も進み、スマートフォンのアプリで少額投資などもしやすくなったりなど、時代がかなり変わってきました。
しかし、人間が自分のお金を把握して、価値あるものに支払うという扱い方自体は変わりません。ここでは、そんな不変な部分を主に、お金の管理の仕方についてもう少し詳しく社会人向けに取り上げたいと思います。
貯蓄状況の実態
2020年に大学生から新社会人に実施した貯蓄に関する調査結果があります。
大学4年生・社会人1年生の貯蓄事情
現在の貯蓄額
- 大学4年生:10万円~30万円未満
- 社会人1年生:100万円~300万円未満
社会人1年生の方はかなりばらつきがあるようで、貯蓄はまったくないという人が13.2%で、300万円以上の貯蓄がある人は2割程度です。
貯蓄の理由
- 大学4年生:旅行資金のため
- 社会人1年生:収入が途絶えたときのため
大学4年生は卒業旅行に向けた資金のためと読むと、社会人になる前に一度貯蓄額が減る可能性もありかもしれません。
社会人1年生はいざという時のためという考え方にシフトしており、「収入が途絶えたときのため」以外に、「老後の生活資金のため」、「病気など万が一のときの備えのため」という理由も僅差でした。
GMOあおぞらネット銀行の大学4年生500名と社会人1年生500名の計1,000名を対象に、「貯蓄事情」と「銀行選び」に関する調査より
お金の管理の仕方
マネーリテラシーと高めましょうということと、通帳(口座)を4種類持ちましょうということは前回説明したとおりです。
特に口座を使い分ける方法は本当に重要です。
先程の調査データの中でも、目的別に口座の使い分けをしている人の貯蓄額は、していない人よりも19万円高く、30%以上も差があることが分かりました。
そして、社会人1年生で実際に目的別に口座を使い分けているのは54%ということです。
2種類であっても使い分けている方が、貯蓄額が多い結果が出ていることが分かります。
今回は社会人向けに、口座の上手に使い分け管理する方法について、口座を分けていることを前提に説明したいと思います。
口座管理の見直し
前回は大学生向けに以下のように口座を分けるように説明しました。
- 生活用の口座:生活費に関わる入出金に使うメインの口座で、大体決まった金額が循環する口座
- 貯蓄・緊急用の口座:基本的に支払いには手を付けない入金のみの口座で、緊急や大きな支出に備える口座
- 投資用の口座:自己投資に使う口座
- 投資入金専用の口座:投資の収入があった場合の入金用口座です。
しかし社会人になって稼ぐようになると、お金の運用も考えると思いますので、その意識を含めた編成にします。
- 生活用の口座:生活費に関わる入出金に使うメインの口座で、大体決まった金額が循環する口座
- 貯蓄・緊急用の口座:支払いには手を付けない入金のみの口座で、将来の貯蓄と緊急時に備える口座
- 自己投資用の口座:目的を持った大きな支出や自己投資に備える口座
- 投資用の口座:投資に使う口座
- 投資入金専用の口座:投資の収入があった場合の入金用口座です。
4.は株式や投資信託などの投資の意味に変わります。社会人1年生でまだ興味がないという人は、意識しなくてもよいでしょう。
生活用口座
前回と変わりません。生活費で循環する口座です。
貯蓄・緊急用口座
少し考え方が変わります。
前回は、海外旅行や自動車免許取得などある程度単発的で目標が絞られたお金だけ出金できるとした口座でしたが、それは次の自己投資用の口座に移行します。
ここは社会人として、将来の結婚やいざというときのために、もっと厳密に支払いには手を付けない入金のみの口座とします。
生活用口座の収入の一部をこちらへ回すよう生活費をコントロールしましょう。
生活用口座と同一金融機関であれば、定量的にこちらへ転送することもできると思います。
自己投資用口座
ある程度単発的で目標が絞られたお金だけ出金できるとした口座です。
勉強や経験・チャレンジに繋がる費用を捻出するようにしましょう。
スキルアップや人脈づくりなどに繋がるWebサービスや環境など、IT活用に関わるお金もここから捻出します。こちらも生活用口座の収入の一部をこちらへ回すよう生活費をコントロールしましょう。
定量的にこちらへ転送できるのがベターです。
投資用口座
ここは、株式や投資信託などの資産運用に関わる投資のための口座です。
証券会社の口座と読み取っても良いです。
生活用口座の収入の一部を定量的にこちらへ転送できるのがベターですが、段階的にでも余剰金を回せると良いでしょう。
なくなっても良いお金というわけではありません。投機やギャンブルではなく、お金自身に働いてもらいながら資産を肥やすための、運用に関わるお金を管理する口座です。
投資入金専用口座
投資用口座が証券会社の口座であれば、紐付ける口座がこれでも良いでしょう。
前回の説明のとおり、要は投資した結果収入があった場合に、その金額(価値)が分かりやすいようにするための口座です。
ですので、3.自己投資用口座と、4.投資用口座どちらにとっても、収入があればこちらに入金されるようにすると良いでしょう。
4.投資用口座であれば、利益そのままなので分かりやすいでしょう。
3.自己投資用口座であれば、クリエイティブなものが分かりやすいですが、YouTubeやブログのアフィリエイトの広告料、ハンドメイドの出品販売、スタンプなどのデザイン販売など、価値提供ができた成果を実感するためにはあると良い口座です。社会人であれば副業と言えるレベルかもしれませんね。
入金の自動化
大企業など一部の気の利いた会社でなければ難しいかもしれませんが、入金時点でコントロールできるのであれば活用しましょう。
給料をA口座、B口座と分けることができるのであれば、給料振込みの時点で、入金先口座を変えましょう。
例えば、生活費用の一定額は生活用口座、残業代などを含めた残りは貯蓄・緊急用口座や自己投資口座に振り込んでもらうなどできれば手間が省けます。
交通費などの経費の振込先口座も変えられれば、少額でも投資系の口座に振り込んでもらうと、貯まってきた頃に「よし、そろそろやろう」とモチベーションアップになったりするかもしれません。
まとめ
大学4年生や社会人1年生は、どこの金融機関の口座をつくろうかと悩むこともあるかもしれません。
ネットバンクの方が、手数料や利息を考えると良いだろうかと悩む人もいれば、親がゆうちょだからそれでいいとあっさり決める人もいるでしょう。
意識することは重要ですが、利息や手数料の差は微々たるものです。長い目で見ればチリツモで差があるでしょう。しかし、はじめのデータにあるとおり、目的別に口座を使い分けているかどうかで、貯蓄額の差が30%もあったことを考えると、お金の管理の意識を高めるほうが、優先度が高く、効果が大きなことだと分かるはずです。
今回は、そのお金の管理の方法として、口座の使い分けについて説明しました。
具体的に口座の使い分け方を説明しましたが、本質的なところは、お金の意識です。
生活用口座に常にいくらお金が必要なのかを考えれば、自然と毎月の支出が見えてきます。
自己投資用の口座を持てば、自己投資の意識が高まります。
投資による収入が見える化されていれば、次の投資へのモチベーションがあがります。
この意識の結果が、貯蓄額という結果に表れてくるのです。
家庭など事情によるとは思いますが、お金の動きを把握して、うまく自分の環境に合わせてカスタマイズしてみましょう。