会社に依存せず個人の力で生きていかなければならないとプレッシャーを感じるときの考え方
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会社に依存せずに自分の力で生きなければならないとプレッシャーを感じるときに知るべきこと

最近は、誰にも頼らず自分で生きる力を身につけなければならないのに、自分には力はないし根性もないと悩んでいる人の声を聞きます。自分の時代には確実に年金制度は崩壊し、老後の蓄えは自分自身でなんとかしなければならないのにとプレッシャーを感じている学生がいるともよく耳にします。

たしかにひと昔前の時代と比べると、仕事の種類もスタイルも、規模も多様化してきている時代です。少子高齢化の問題は確かにありますし、会社の退職金や金融機関の利息だって期待できるものではなくなってきています。

メディアを通じて不安を煽るようなニュースも目にしやすくなっています。同年代の若年層で高い稼ぎをしている人もSNSなどで見つけやすくなったりもなっています。
有名人の事務所退所のニュースやYouTuberの動画などから、大きな組織に属さずに個人の力で頑張らなければならない時代なんだと感じる人も多いでしょう。

テレビでも一般人のバズったSNS投稿動画が紹介されたり、派手さや一発逆転のサクセスストーリーも身近なように感じてしまいます。
田舎のシェアハウスで最低限の生活をしながら、自分のいきがいの仕事をしたり、成功を目指して努力する姿も流れたりします。

これが今の世間一般だと感じると、まるで人生はギャンブルのような不安定なもので、気を緩める暇もなく貧富の格差も広がるように思います。
これから社会に出ようとする学生にとっては、選択肢があり過ぎて、焦りを感じる人がいるかと思います。

現実はどうなのでしょうか。

時代は大きく変わっているのか

データから見る実態

就職内定率

2020年度(2021年卒)の卒業生の内定率は以下のグラフのとおり、2020年12月時点で93.4%となっています。
新型コロナウイルスの影響がある中、内定率の低さが一時不安視されていましたが、例年水準近くまで押し上げていることが分かります。

就職内定率(2020.12.11時点)

参考:リクルートキャリア「就職プロセス調査 内定状況」
https://www.recruitcareer.co.jp/news/pressrelease/2020/201211-01/

例年と比べて、少なくとも就職志願者が内定を得る割合は大きく変わらないことが分かります。
では、就職志願者だけでなく、卒業者全体の動向としてはどうなのでしょう。

卒業後の動向

文部科学省の学校基本調査に大学(4年制大学学部)卒業生の動向についての調査結果があります。

卒業者進学者就職者(正規雇用)就職者(非正規雇用)一時的な仕事に就いた者就職も進学もしていない者その他
平成21年55953968422382434※左の正規雇用に含まれる129916789427798
平成26年5655736302537250922259145196848424775
平成31年(令和元年)572639603634308971589781653823219085
令和2年573947599104276581942275864080918562
状況別卒業者の推移(大学[学部])

卒業者に対する、進学や就職などのその後の動向の割合が分かります。
尚、就職者(正規雇用)は、無期雇用労働者とも表現され、就職者(非正規雇用)には有期雇用労働者と表現され雇用契約期間が1か月以上の者を指します。
また、その他には臨床研修医や、専修学校・外国の学校等の入学者も含みます。

参考:文部科学省「学校基本調査」https://www.mext.go.jp/b_menu/toukei/chousa01/kihon/kekka/k_detail/1419591_00001.htm
https://www.mext.go.jp/b_menu/toukei/chousa01/kihon/kekka/k_detail/1419591_00003.htm

割合を円グラフで表すと以下のとおりです。

平成21年
平成31年(令和元年)
令和2年

(正規雇用)就職率は、平成31年(令和元年)卒業者で75.2%、令和2年卒業者で74.5です。
尚、(正規雇用、非正規雇用を合わせた)平成21年卒業者の就職率は68.3%でした。

新型コロナウイルスの影響を含んだ、最新の動向は現時点でまだわかりませんが、近年大きく就職する人が少なくなっているということはないことが分かります。

近年の就職率についても出してみました。

卒業者就職者(正規雇用)就職率
平成21年559539382434 ※非正規雇用含む68.3%
平成26年56557337250965.9%
平成27年56403538857868.9%
平成28年55967839897971.3%
平成29年56776341391572.9%
平成30年56543641903774.1%
平成31年(令和元年)57263943089775.2%
令和2年57394742765874.5%
年度別卒業者の就職率(大学[学部])

ここ数年で比較すると、むしろ正規雇用の就職率は増えている傾向があることが分かります。
もちろん、希望の就職先に行けている人がどのくらいいるのかは分かりませんが、正規雇用の志願者の率も近年大きく変わらないということです。

中高生の将来の夢

次の世代の動きの参考として、少し若い世代の将来の夢についての調査結果です。

中学生
中学生の大人になったらなりたいもの
高校生
高校生の大人になったらなりたいもの

参考:第一生命保険「大人になったらなりたいもの 調査結果」
https://www.dai-ichi-life.co.jp/company/news/pdf/2020_102.pdf

中学生も高校生も男女問わず、1位は「会社員」という結果でした。
年齢により社会で働くということが具体的になるにつれ、会社員や公務員などの安定的で現実的な職業を希望する傾向があります。そして、男子はITエンジニア・プログラマー、ゲーム制作など専門性を活かせる職種を希望し、女子は看護師、教師/教員など社会貢献に関わる職種を希望する傾向もみえます。

焦りはどこからくるのか

上記のデータをどう感じたでしょうか。
予想通りという人は、そもそもそれほど焦りなど感じていないかもしれません。
なんとなく不安を感じていた人は、想像したほど実態は大きく変わっていなかったと感じるのではないでしょうか。

もちろん、少子高齢化による年金制度の問題は確実にあります。政府より副業や兼業を勧める動きもあります。
それに伴い企業の方針や終身雇用の考えも変わってきているのは事実です。

しかし、将来に対し過剰な不安を抱くのは健康的ではありません。
焦りの元はどこからきているのか考えて、冷静な判断が必要かもしれません。

テレビやYouTubeなどのメディアは、非日常的なものが届けられやすくなっています。
少数なものも多数なように感じられてきます。

特にYouTubeやClubhouseのようなメディアは、ぶっちゃけた話ができる一方で、テレビでは放送できない真実のような謳い文句で、責任なく真実かどうか分からない話まで真実のように伝えることができてしまいます。

独立や起業で成功した人の例などもインパクトは大きいかもしれません。収入が増え、やりがいのある好きな仕事をして、有名になってと輝かしく見えるかもしれません。
しかし成功者も元々は大企業に在籍してから独立して、大企業の名前がよい肩書きとなりブランド力を持っていることは多いものです。そしてその企業の名前を出す分、責任を持っており、それにより信頼もあります。

不安を煽る情報は、そこら中にあります。意識すればするほど目の前に集まってきます。
確実性のない未来に過剰に心配していると、目の前のことまで疎かになってしまいます。
目の前の今日を生きるようにしましょう。

目の前の今日を大切にする考え方は、以下の本でも紹介されています。

「道は開ける」から分かる一番大事なこと

次の章では、これからの時代をどう生きるのかということに触れていきたいと思います。

会社に依存せずに自分の力で生きなければならないとプレッシャーを感じるときに知るべきこと パート2

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